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財団設立40周年記念インタビュー「江東区の文化~未来へ~」第3回

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石井清子さん
第3回「バレエと江東」石井清子さん

 ティアラこうとうの『くるみ割り人形』やジュニアバレエ教室の振付指導などで活躍。石井さんが語る地域でのバレエ振興の原点やバレエの楽しみ方とは。

40年以上のお付き合い

 40年前、江東区文化センターは全国に先駆けて開館した、最先端の文化施設でした。当時、私は全国子ども劇場の公演で各地をまわっていましたが、行く先々の劇場関係者から「江東区文化センターへ見学に行ってきました」と言われるほど、どこへ行っても話題でした。施設の建設にあたっては様々なアドバイスもしていたので、とても誇らしかったですね。
 ただ、建物は完成しましたが、今度は施設をどんな内容で運用するかという問題がありました。私は文化庁の在外研修員として訪れていた、ドイツのシュツットガルトから帰国したばかりだったので、あの町のような、地域に根差したバレエがふさわしいと思い、企画したのが『くるみ割り人形』でした。
 シュツットガルト・バレエ団は、著名な振付師ジョン・クランコが育て上げた世界的に有名なバレエ団です。私はバレエ団のバレエ学校からお誘いを受け、1年かけてバレエ学校や劇場に通いながら振付や指導法を学びました。
 ある日、劇場に向かう途中にある八百屋さんで買い物をしていた時のこと。「昨日のロミオとジュリエットはよかったね」と、店主のおじさんに突然話しかけられたのです。富岡町の実家の前にも八百屋さんがありましたが、バレエの話などしたことがありません。シュツットガルトの人々は誰もが皆、わが町の歴史あるバレエ団に誇りを持っていたのです。

夢は必ず叶う

 江東区文化センタ―の『くるみ割り人形』は、近所のバレエ教室のこどもたちを集めてオーディションを行い、当初は私が費用を負担してはじめました。回を重ねるたびに客席は満員となり、この頃から、バレエを観たことがない障がい者の方々をご招待するようになりました。
 いつか、オーケストラを交えて公演を行うのが夢でしたが、財団職員の方は「先生、夢は必ず叶いますよ」と応援してくださいました。すると本当に夢が叶い、1994年に「ティアラこうとう」が建設されたのです。
 以来、ティアラの大きな舞台で、オーディションで選ばれた「ティアラ″くるみ”の会」のこどもたちをはじめ、江東区芸術提携団体の東京シティ・バレエ団と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、江東少年少女合唱団が一体となって舞台を創り上げています。今年で36回目を迎えますが、続けてきてよかったと思います。
 また、バレエを通してこどもの豊かな感性を育むため「ティアラこうとうジュニアバレエ教室」にも取り組んでいます。オーディションで集まったこどもたちがお互いに刺激し合い、レベルアップにつながる場として、小学校4年生から高校生まで約80人がレッスンに励んでいます。発表会はもちろん、新国立劇場のオペラ『アイーダ』にも毎回出演するなど、活躍の場を広げています。

バレエは感性で楽しむもの

 バレエに限らず、踊り(舞踊)は言葉が発達する以前から存在した、最も古い芸術です。肉体だけで表現することは楽しいことだと思います。
 日本人は静かでつつましい印象ですが、踊りに関してはパワーを感じます。若い人だけでなく、ご年輩の方も社交ダンスやフラダンスなどを楽しまれている。日本人は踊りが好きなんですね。
 これからバレエを観る方は、ぜひ理屈ではなく感性で観てください。画家のピカソは「誰もが芸術を理解しようとする。ならば、なぜ鳥の声を理解しようとはしないのか」と述べていますが、バレエもこれと同じ。小鳥の声を聞くような気持ちで、風を感じるような気持ちで楽しんでください。

(聞き手/片山祐子)
石井 清子(いしい きよこ)江東区富岡生まれ。5歳から踊りを始め、1949年谷桃子バレエ団に入団しソリスト・プリマとして活躍。1968年東京シティ・バレエ団設立と同時に参加。同団理事長となり江東区と芸術連携を結ぶ。現在も地域に根差した活動でバレエの振興に貢献。2003年同区スポーツ・文化功労章、2015年文化庁長官表彰他。
今後の予定10月 8日(土)オーケストラwithバレエ「カルメン」(演出・振付)
12月17日(土)・18日(日)バレエ「第36回くるみ割り人形」(構成・振付)

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