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財団設立40周年記念インタビュー「江東区の文化~未来へ~」第4回

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高関健さん
第4回「オーケストラと江東」高関健さん

 多彩な楽器で豊かな演奏を披露している東京シティ・フィルは、今なお進化を続けるオーケストラ。常任指揮者でありジュニアの指導も担う高関さんがその魅力を語る。

多彩な地域コミュニティ活動

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(以下シティ・フィル)は、江東区と芸術提携を結び28年が経ちました。ティアラこうとうでの定期演奏会の他、オーケストラの真剣勝負が見られる公開リハーサルや、今まで楽器を持ったことのない子も参加できる楽器のクリニック、小中学生に向けた音楽鑑賞教室、区内小学校へのアウトリーチ活動など、地域コミュニティ活動を積極的に展開しています。
 私が常任指揮者となったのは2015年からですが、おかげさまでティアラの定期演奏会はずいぶん定着しました。都内23区の中でも演奏会がこれほど充実している区は少なく、そういう意味ではすばらしい成果を挙げているのではないでしょうか。お隣りの墨田区を含め、最近は下町サイドの施設ががんばっている印象です。生まれも育ちも千住の私としてはうれしいことですね。

プロが指導するジュニアオーケストラ

 3年前から音楽監督をしている「ティアラこうとうジュニアオーケストラ」では、シティ・フィルの楽団員が直接指導を行っています。指導者が全員プロフェッショナルで、楽器ごとに付き添うため、こどもたちはまるでプロの間に入って演奏しているようなすばらしい環境です。また、シティ・フィルの演奏会に足を運べば、指導者たちの活躍も目にすることができる。こうした面で江東区は一歩進んでおり、とても秀でていると思います。
 対象年齢が小学4年生から大学3年生までと幅広いのも良いですね。私自身も小学4~5年生の時からシティ・フィルの前身である東京ユースシンフォニーオーケストラに参加しました。当時はメンバーが芸大の学生中心だったので演奏は上手で、専門的な知識を間近で聞く機会もありました。この時の経験からオーケストラに大きな興味を持ち、今にして思えば指揮者を目指すきっかけになったと思います。

クラシックを楽しむために

 オーケストラや音楽のすばらしさをどうやって知っていただくか、感じていただくかは大きな課題です。シティ・フィルでも舞台の上だけでなく、様々な場所に出て行き演奏するアウトリーチ活動を試みています。
 例えば、演奏を楽しく聴いていただくため、私が指揮する時は曲の聴きどころや成り立ちなどを、演奏前に10~15分程お話しします。分かりやすいという評価もいただき、新たに定着した活動の一つです。
 また、ファンの裾野を広げるため、シティ・フィルではドラゴンクエストなどのゲーム音楽や映画音楽の演奏会も行っています。おかげさまで満席のことが多く、お客様は生の演奏に入り込んで聴いてくださっています。こうした経験を通じて生の演奏のすばらしさや、定期演奏会などで本格的なクラシックを聴くきっかけにつながればうれしいですね。
 今は動画再生サイトを開けば古今東西の名演奏が聴ける時代。それで十分だと感じる方もいますが、やはり舞台の上で70~80人の演奏家が目の色を変えて演奏している生の音は、動画とは比べ物になりません。シティ・フィルはもうじき創立50年を迎えますが、とても良いオーケストラとして格段の成長を続けています。日本の音楽界全体がここ20年でレベルアップしていますが、シティ・フィルはそれが顕著です。むずかしいと言われる曲でも、今は完成度の高い演奏を披露できています。
 ティアラこうとうの定期演奏会ではクラシックの名曲を中心に、また協奏曲には気鋭の若いソリストをお招きして、充実した演奏をお楽しみいただけるプログラムをご用意しています。構えることなく気軽に聴きにいらしてください。

(聞き手/片山祐子)
高関 健(たかせき けん)1955年生まれ。国内主要オーケストラで重職を歴任し、現在、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者。緻密なスコアの分析からスケールの大きな音楽を作りだす知性派指揮者。第50回サントリー音楽賞受賞。

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